場所:爆心地公園 期間:7/13~8/10 (公開制作:7/13~7/19、公開消去:8/10*雨天変更あり)

完成イメージ図

蓄積された声が、鼓膜を、そして全身を共振させる「震える音」であることを起点に、こうした声を「波長」として目に見える「声紋」とした。個人の声が、文字ではなく上下に激しく揺れる波長という音無き象徴として編まれることは、歴史が、個人史の集積からなる物語でありながらも、歴史的出来事という名のもとモニュメント化され、消費されそして、忘却されることに対して、声なき声が抗っているようでもある。 被爆75周年という節目の今夏、長崎のグラウンド・ゼロ、爆心地に立ち戻り、かつてない規模で「声紋」を書き写す『声紋源場』を公開制作、米をベースにした手作りの絵の具で書き写された「声紋」で埋め尽くされた現場では、アプリと連動して声を「聴く」ことも出来るようになっている。

竹田信平『声紋源場』 サイドイベント:ウェブ配信ダイアログ 7/14~8/4 毎週火曜日4pm~5pm 『声紋源場』が長崎の爆心地公園で制作・公開すされる過程と同時進行で様々なゲストと共に竹田信平が、 記憶の継承・忘却、モニュメント/アンチモニュメント、軍縮、原爆表象と現代アートなどをテーマに、長崎の爆心地から新たな視点を包括的に考えるウェブ配信講座を開催します。

参加は事前に申し込みが必要です。 (連絡先:現地コーディネーター・甲斐一美 k.leo.cosmos14@gmail.com )

第1回 7月14日(火)午後4時~5時 テーマ:被爆の継承の紐を解く ゲスト:朝長 万左男氏 (長崎県被爆者手帳友の会会長・医師)    大瀬良 亮氏 (HAFH共同代表・ナガサキアーカイブ発起人)

第2回 7月21日(火)午後4時~5時 テーマ:公と個の物語を紡ぐ ゲスト:青来 有一氏 (作家・元原爆資料館館長)     中尾 麻伊香氏 (核の歴史研究者・長大)

第3回 7月28日(火)午後4時~5時 テーマ:軍縮と感性 ゲスト:吉田 文彦氏 (RECNA核兵器廃絶研究センター長)     荊尾 遥氏(かたらお・はるか 元国連軍縮部職員)

第4回 8月4日(火)午後4時~5時 テーマ:原爆表象と現代アート ゲスト: 長谷川 新氏 (インディペンデント・キュレーター)

プロフィール

朝長 万左男(ともなが・まさお)氏 1943年長崎市生まれ。長崎大学名誉教授、日赤長崎原爆病院名誉院長。2歳のときに被爆し、医師となってからは、被爆者の白血病などの疾患を追う血液内科医として診療・研究を続けてきた。一方で、核兵器廃絶を訴える世界的な医師の団体である核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の日本代表として活動し、核兵器による放射線被爆の後遺症が生涯持続性であることを広く世界に発信している。核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員長。2019年からは長崎県被爆者手帳友の会会長に就任。

大瀬良 亮(おおせら・りょう)氏 1983年、長崎市生まれ。株式会社KabuK Style Co-CEO/Producer。筑波大学を卒業後、電通入社。在京長崎県人会「しんかめ」を主宰、原爆の実相を伝える「Nagasaki Archive」発起人。2015年から内閣広報室のソーシャルメディアスタッフに。2018年4月、つくば市まちづくりアドバイザーに就任。2018年11月、「世界を旅して働く「HafH」を創始。

青来 有一(せいらい・ゆういち)氏 1958年長崎市生まれ。1995年に「ジェロニモの十字架」で第80回文學界新人賞を受賞し作家デビュー。2001年、「聖水」で第124回芥川賞を受賞。2019年3月末に定年退職するまで役所勤めを続けながら執筆活動を続け、2010年に長崎原爆資料館長に就任。2007年、長崎を舞台にした連作集『爆心』で第18回伊藤整文学賞、第43回谷崎潤一郎賞受賞。同作は2013年に『爆心 長崎の空』のタイトルで映画化された。

中尾 麻伊香(なかお・まいか)氏 1982年ドイツキール生まれ。科学史研究者。原爆をめぐる言説や表象の歴史研究をしている。2015年に東京大学大学院総合文化研究科修了後、立命館大学やマックス・プランク科学史研究所などを経て、2018年から長崎大学原爆後障害医療研究所助教。著書に『核の誘惑』(勁草書房、2015)、『科学者と魔法使いの弟子』(青土社、2019)など。

吉田 文彦(よしだ・ふみひこ)氏 1955年京都市生まれ。長崎大学核兵器廃絶研究(RECNA)センター長。東京大学文学部卒、朝日新聞社入社。2000年より論説委員、論説副主幹。その後は、国際基督教大学(ICU)客員教授、米国のカーネーギー国際平和財団客員研究員など。主な著書は、『核解体』『証言 核抑止の世紀』『核のアメリカ』。

荊尾 遥(かたらお・はるか)氏 1982年広島県生まれ。18年より国際協力機構(JICA)技術協力専門家。在オランダ大使館で化学兵器禁止条約担当の専門調査員として4年間勤務。12~14年、国連アジア太平洋平和軍縮センター政務官。15~16年には広島県平和推進プロジェクトチームアドバイザーを務めた。国連軍縮部職員として17年第1回NPT準備委員会を担当し、同年の核兵器禁止条約交渉会議ではNGOの窓口となり、条約の成立に立ち会った。

長谷川 新(はせがわ・あらた)氏 1988年生まれ。キュレーター・批評家。2013年から2014年にかけ、大阪、東京、金沢にて開催された「北加賀屋クロッシング2013 MOBILIS IN MOBILI-交錯する現在-」展においてチーフキュレーターを務める。主な企画に「無人島にて―「80年代」の彫刻/立体/インスタレーション」(2014年)、「パレ・ド・キョート/現実のたてる音」(2015年)、「クロニクル、クロニクル!」(2016-2017年)、「不純物と免疫」(2017-2018年)など。